なんで組手でステップするか知ってますか?

現代の競技空手で多用されるステップで、当たり前のようにある技術ですが、その存在意義について考えたことはありますか?この記事では、なぜステップをした方がいいのかについて考察します。

昔の空手にステップはない?

実際にバチコーンって拳を当てることが普通だった寸止め空手では、今のようなステップはしていません。前後に揺れるような脱力から、攻撃の瞬間には両足が地面についた状態で拳がヒットします。(本当は当てちゃいけないハズですが、、、)それが、今のようなスタイルになったのは、神奈川県の重鎮鈴木雄一先生の頃からになります。ほぼ両足が同時にはねており、そこからの回避能力は他を圧倒していました。ショートレンジでの攻防ではステップはしないので、負けるときはその土俵に持ち込まれていたような感じがします。

もっと前の話をすれば、空手の仮想敵は剣でした。剣に対して、いかに勝つかという技術が空手です。競技空手やボクシングのステップは相手との距離を詰めるための技術でもあるため、前後方向のステップがあります。しかし、対剣の場合で、こちらから攻めても99.9%こちらの攻撃が届く前に切られます。徒手空拳の攻撃範囲は点の集合ですが、剣のそれは線の集合です。言い換えれば、空手対剣=線対面で、文字通り次元が違います。

大学時代に剣道部の友人と、竹刀対空手で戦いました。無理です。勝てません。短刀にしてもらって、やっと勝負になりました。それでも、勝ったのは1回で、その時は、こちらから攻めてもうまくいかなかったので、相手の空振りを誘って一気に間を詰めてから投げての辛勝でした。

対剣を想定した場合、こちらから動いて攻撃することは自殺行為ですから、初太刀を避けることに全力を注ぎます。そこで注目されるのが、和道流における、基本組手の受け手の1挙動目のいなしです。いなそうと思ったら、相手の打ってくる場所や軌道を予想しないといけませんから、こちらがステップなどやろうものなら、どの位置にいる自分に対して相手がうってくるかわからないので、予想の難易度が跳ね上がります。2次元の戦いから3次元の戦いになる感じです。(わかりづらいですかね?)

時は変わって現代の空手

さて、昔の空手にはステップはなかったのは当たり前だということがわかりました。では、今の空手の敵はだれか、そう武器を持たない徒手空拳です。線対面が線対線になりました。

この次元の戦いでは、軌道を予想する必要性は低まり、到達点を予想するのみで済みます。この時、ステップをする自分への攻撃点は自分の体表以外にはありえず、相手にとっては、高速で移動する物体の1点を狙わなければならず、難易度があがるので、ステップをするメリットのほうがデメリットを上回ります。

よくね、インターネットの掲示板で「あんなにピョンピョンして、競技空手は実戦的ではない」という趣旨の書き込みがあります。やれやれという感じで眺めている方が多いのですが、こういう内容はあまり減りません。あえて、ここで反証するなら、『蝶のように舞い、蜂のように刺す』ボクシングのモハメド・アリを出したいです。ロングレンジではステップワークで相手を翻弄し、自分は被弾しないように試合を有利に運び、ショートレンジでは足は床からは離れない程度で相手の反撃を食らわない位置へ細かく移動しつつ、しっかり床を踏んでの攻撃をするという戦い方をしていました。これは、当時は特にヘビー級ボクシングでは異端扱いだったのですが、最近は当たり前のような技術です。つまり、「あんなにピョンピョンして。。。」という方は時代遅れという事です。

とはいえ、ステップをしない空手もできたほうがいい

これまで、ステップについてつらつらと、競技空手でステップをしないことはありえない的な書き方をしましたが、ステップしない空手も身に着けたほうがいいです。それは、カウンター狙いの場合です。ステップを止めて、完全に静の状態になると、カウンター狙いがもろバレなのですが、ばれても対策が難しいのがカウンターです。これは身に着けない手はないと思います。カウンターにおけるステップの考え方は攻撃型のステップと若干異なると思うので、別の記事でまた書こうと思います。

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投稿者: keisuikansagamihara

相模原市 中央区の空手 教室です。

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