空手に必要な目の鍛え方

別記事「目も鍛えるぜ」で書いたように、空手において目の良さは非常に大事です。武術的には年齢による衰えの中でも、技を使って身を守れるようにならなきゃなので、目を使っているうちはまだまだと言われそうではありますが、経験から得られることもあるので、鍛えられるうちは鍛えておいて損は内容に思います。

この記事では、目の鍛え方を書いていきたいと思います。赤ちゃんから訓練できる方法もあるので是非読んで下さい。

お品書き

  • 動体視力
  • 深視力
  • 眼球運動
  • 瞬間視

動体視力

動体視力は実は格闘技ではあんまり重要ではありません。スポーツにおける視覚機能の研究で、ボクシングでの動体視力の重要度は5段階中2という評価でした。動体視力というのは、動く物体を正確に視る力です。高速道路の脇に立って、横切っていく車のナンバーを読み取る能力と考えて頂くとわかりやすいでしょうか。戦っている状況を想像してみてください。相手はほぼ同じようなところにいます。高速で動くといっても、絶対に視野の範囲の中でのことですから、この能力が戦力の差につながりにくい事がわかります。

とは言え、動体視力の訓練の過程で下に挙げた能力の向上も期待されるので、訓練が意味ないわけではありません。

訓練方法は簡単で、先ほどの例のように高速で上下に動く物体の数字なり文字なりを読み取るようにすればいいので、電車から見える看板の文字、歩道から見える走る車のナンバープレートなどを見るようにすればいいのです。野球のイチロー選手も同様の方法で訓練していたという事を小耳にはさんでいますので、きっと有効なのでしょう。ちなみに、野球における動体視力の重要性は5段階中5です。

深視力

重要度 5段階中3(ボクシング)。

簡単にいうと、奥行き感を見る力です。これも以前の記事「突きの何に反応されるか」でお伝えしたように、遠くの物体は実際よりも小さく見えてしまいます。これは錯覚でもなんでもなく、通常の物理的な法則ですから変えようがありません。脳が奥行きを認識するのは、周りにある知っている大きさのものと常に比較し続けているからです。空手でヒントになるのは拳サポとメンホ―くらいでしょうかね。

車の例を出すとわかりやすいでしょうか?車の運転で深視力を鍛える重要性を説く方がいますが、間違っています。実際上は、事故を防ぐことが目的であれば、車のボンネットなどの目印から見える平面上の長さと実際の距離を知っていればよいのです。駐車に関しても車から見える目印との位置関係で距離を測ればよく、これは奥行きではなく、平面での知覚ですので、立体視は関係ありません。

空手も同じです。自分が構えた状態から見える前拳や前足のつま先などの目印と目を結ぶ線上にある地面との距離を知っていれば、相手との距離感がわかります。これを感覚的に認識できるようにすればよいので、そういう意識を持って、距離を測る練習をすればよいのです。

眼球運動

重要度 5段階中 5(ボクシング)

かなり大事です。なぜならば、高速で動くのは相手と自分です。相手と同じ速度で離れれば、眼にとっては自分の身体が動く速度の2倍の速さで相手を追わなくてはいけませんし、常に自分も相手も直線の正中を外して攻撃しようとしてくるので横の動きが多くなります。

眼を動かす筋肉は、1つの眼につき6種類あり、それぞれ別方向の動きを担います。難しいことは考えずに、眼をギョロギョロとさせていろいろな方向を見たり、限界までが右や左、上下などに動かすとよいです。寄り目も忘れないでください。

プロスポーツ選手が練習や試合前にウォーミングアップの一環として取り入れているようですが、実は勉強前にやると字を読み取る速度があがるということで、成績が上がるようです。

こどもは動くものが好きですから、人形などを目の前で上下左右前後に動かして、眼で追ってもらう遊びなどで鍛えられると思います。その他、鬼ごっこで本気でフェイントをかけてあげて左右に振ってあげると眼球運動は自然に鍛えられます。

瞬間視

重要度 5段階中 5(ボクシング)

気持ち的には5段階評価で10あげたいくらい重要だと思います。その他のスポーツにおいてもほとんどで5がつけられています。要は目を閉じた状態からいきなり開いた時に入ってきた情報をどれだけ多く認識するかという力です。相手の攻撃をよけるために一瞬目を離した次の瞬間に相手のモーションを読み取って、次のアクションを思考することに必要です。

遊びの中で鍛えるなら以下の方法はいかがでしょうか?

  • 後だしジャンケン: 一瞬遅れて勝てる・あるいは負ける手を判断します。
  • 隠さない神経衰弱:トランプを全て表面を上にして並べて、ペアを取っていくゲームです。一人よりも二人以上でやった方が状況がどんどん変わるので、瞬間視にはより有効です。
  • 5×5数字ならべ:縦横5×5マスの中に1から25までの数字がランダムに書き込まれた紙を用意します。そこに書かれた数字を順番に押していくゲームです。マスが大きければ大きいほど眼球運動の訓練にもなります。

空手での訓練としては、眼と身体の協調も同時に鍛えてあげるとよいので、下でご紹介します。

眼と身体の協調

重要度 5段階中 5(ボクシング)

見えていても身体が動かなかったら、見えていないのとの差は覚悟できるかどうかのみで勝つことはできません。実際に脳の機能としても、眼からの情報はいったん後頭葉に送り込まれてから前頭葉や小脳といった身体を動かすための機能がある脳の領域に情報が送られ、各領域で運動パターンが想起され、統合されて、手や足に動くための指令(実際は運動抑制の解除)が伝えられます。これは訓練しないと絶対にできないことで、あるパターンの動作を見たら、こう動くみたいな運動パターンを反復練習して身に着けます。

練習方法としては、2人ペアの片方に目を閉じさせておいて、もう一方が気合と共に突きや蹴りのゆっくりしたモーションを出します。目を閉じた方は気合が聞こえた瞬間目を開けて、状況判断して、次のアクションをします。そのアクションはカウンターでもいいし、回避でもいいです。とにかくパターン化して、反復練習しましょう。


いかがでしたか?実は、周辺視野もスポーツの成績に関連するといわれているのですが、空手においては、攻撃への対処は瞬間視のトレーニングで十分なので、あえて周辺視野を狙って練習する必要はないかと思って、割愛しました。超至近距離で戦うことが多いなら、訓練した方がよいです。ボクシングでは5段階中5の重要度です。

できることから練習していくと、半年後には見違えるほどの能力向上が期待されます。特別な器具は不要ですので、是非やってみてください。余談ですが、空手の形はまず目線を向けてから動くよう指導されます。これも一種の眼球運動の訓練です。なにせ、眼だけで真横を見てから、首を振り、次に身体を動かしますから、形は本当によい練習ですね。(意識次第ではありますが)

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投稿者: keisuikansagamihara

相模原市中央区の空手教室です。

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