成功の元になる失敗は「ほどほど」で勘弁してほしい

「失敗は成功の元」という有名な言葉あります。成功するためには何万回という失敗をしようという意味ですが、子育てにおいてはどうなのでしょうか?

この記事では、失敗による成長について考察したいと思います。

失敗した時の心理

「失敗」

というと、皆さんはどのよな出来事を思い浮かべますか?

失敗というのは、「成功しないこと」「目的を達せられないこと」という意味が辞書に載っています。でも、失敗という言葉のニュアンスを考えてみると、赤ちゃんが立ち上がろうとして転んでしまうことを「赤ちゃんが立つことに失敗した」という人はいないように、できないハズのことができなくてもそれを失敗とは表現しません。なのに、大人になるにつれて、本来ならできなくて当たり前のことができないと、それを「失敗した」と表現するようになります。

私は1回目の大学受験で志望校に不合格だった時に「受験に失敗した」と思いました。でもそれは、おそらく、不合格だったことに対して「恥ずかしい」という感情があり、それを隠すために「失敗」というカテゴリーにいれて、「本来ならできていたかもしれない」とごまかしていたんだと今では思います。

失敗の本質

「成功の反対は失敗ではなく、挑戦しない事である」と説いた人がいます。世界の発明王トーマス・エジソンです。ある目的を達するために、努力したとして、1度や2度ならず、その努力が叶わなかったことがあるとして、諦めずに方法は工夫しつつ努力し続ければいつか成功するかもしれません。逆に言えば、諦めたら絶対に成功しません。成功の反対語が失敗なのだとすると、失敗の本質的な意味は「諦める」なのかもしれないと思う次第です。

医学における失敗の取り扱い方

交通事故などで脳の機能が損なってしまった状態を高次脳機能障害といいます。身体の麻痺と違って高次脳機能障害の患者さんのリハビリテーション(以下リハビリ)には長い年月を要します。(現行の保険制度と病態がマッチしない一例です。詳しくは居酒屋で酒を飲んだら語ります。)高次脳機能のリハビリは認知リハビリテーションと言います。ADHDなど発達障害においても認知リハビリテーションが行われます。このリハビリで科学的に推奨される方法として、erroless learning:ELというのがあります。日本語版の解説で「失敗経験をなるべくしないように配慮した学習」と表現されています。(英語のニュアンス的にはerrorは機械的な「間違い」で、日本語の「失敗」はfaultですから、正しい表現は「誤った体験がないような学習」だと思いますが。。。)要するに、患者さんがリハビリを成功させるためには、「なるべく本来してほしい認知行動から逸れた行為(やってほしくない行為)がないように配慮しようね」ってことです。その過程における工夫としては以下のようなものがあります。

  • 目標とする作業を細分化し各ステップを明確化する
  • 作業を行う前に、十分にモデル(見本)を提供する
  • 作業を行うにあたって、なるべく推測をしないように指導する
  • 誤りがあったら即座に修正する
  • 徐々に手がかりを減らす

また、認知リハビリが必要な人は情報処理の速度が低いことが多いので、作業を行うにあたって十分に時間をとってあげることが必要です。「時間がかかっても焦らなくていいんだよ」といってうまくできないことへのプレッシャーをなるべく軽減してあげるとミスが少なくなります。

子育てへの応用

十分に時間をとってあげることは、先日テレビ放送が始まった柳楽優弥さん主演の『二月の勝者』の原作漫画でも言われていました「親の仕事は子供の成長を待つこと」に通じる工夫ではないかと思います。私もやってしまいがちですが、子供がせっかくやろうとしていることに対して、時間がないことを理由に親がやってしまっている、あるいは、お手伝いなどさせずにいることは、子供の成長にはよくないということです。(もちろん子供の成長ばかり気に掛けるわけにはいかないので、バランスは大切です。)たとえば、靴紐を結ぶことについても、まず紐を結ぶための動作を細かいステップに分けて覚えてもらい、手本を見せて、やらせてみて、いい感じのタイミングでサポートしてあげる。何度も繰り返して、徐々にサポートの頻度を減らす。これが、認知リハビリの子育てへの応用です。

気を付けたいことは、子どもの活動全般に対して失敗の回避を多用すると、次第に子供の自発性が低下してしまう可能性があるので、ある程度は子供の自由にさせて、それこそ失敗(というか間違い)に対して、なぜそうなったかを考えることも学びですから、サポートのタイミングでその気づきができるような配慮が望ましいかと思います。


いかがでしたでしょうか?常々思っているのですが、(誤解を恐れずに言います)高次脳機能障害や認知症などに対するリハビリの手法、あるいは介入方法の科学的エビデンスは子育てに応用できます。なぜなら、子供というのは脳のあらゆる部位が未発達で、それぞれに応じた子育て(介入)が必要になるからです。

是非、医学の検証を子育てに活かしてみてください

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投稿者: keisuikansagamihara

相模原市中央区の空手教室です。

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