メタ認知を身に着けるといいことあるよ

その考え方や感情は変えられます』でもお伝えした認知の仕方のことを、偉人の言葉を紹介しつつ書いてみようと思います。

りけんのけん

皆さんは「りけんのけん」が誰の言葉かご存知でしょうか?室町時代初期までに活躍した世阿弥という能を芸術に昇華した方が、能楽論書「花鏡」で書かれた言葉です。漢字だと「離見の見」と書きます。なにかというと、

舞台で舞っている自分を、まるで自らの身体から離れた視点からとらえると演技が上手になるよ

という意味の言葉になります。俯瞰して視ようということですね。今風の言葉でいうとメタ認知のことです。大切なことは、メタ認知の前に、我見・離見という二つの視点があることです。私からの視点、相手からの視点ですね。

当然、この二つが十分に備わらないとメタ認知などはできません。自分からの視点を認識しないと、それに対する感情や身体の反応が理解できません。相手からの視点を想像できないと、自分の行動による相手の反応が予測できません。そして、その二つの視点を同時に認知することで、自らの最適な行動を決定できます。

よくスポーツの試合を見ていると、私の場合はサッカーですが、「パスはそっちじゃないよなぁ」とか「なんでそこで抜きにいくんだ」と思ってしまうことが多々ありますようね。格闘技だと、「そこは突きじゃなくて蹴りの軌道が空いているのに」とかですかね。これは、観客はまさに選手の行動含め俯瞰的に観察できるからこその感想です。実際にプレーするとなると全く話が変わります。相手からのプレッシャーだったり、チャンスの芽が見えない位置に巧妙に隠されていたりするからです。

観の目、見の目

メタ認知をスポーツに落とし込んだ時に、大事なことは、宮本武蔵の五輪書に書かれている「観の目、見の目」

『目の付けようは大きに広く付くる目也。観見二つの事、観の目つよく、見の目よわく遠き所を近く見、近き所を遠く見る事、兵法の専也。』
(戦いの時は、物事を大きくとらえるようにしよう。俯瞰的な視点(観の目)を強めに意識して、実際の見た目(見の目)は弱めに意識したがいいよ。離れたところの事に注意を払って、近くの事はあまり気にしないようにしようね。これが兵法では大事だよ)

自分を痛めつけようとする敵の一挙手一頭足は必要以上に気にかけてしまいがちですし、実際以上に強そうに見えたり、遠く見えたり、とにかく予測が実際と違うことは戦いの最中ではよくあることです。だからこそ、俯瞰的視点で惑わされないようにすることが大事なんですよね。木を見て森を視ずもそれを戒める言葉ですね。

世阿弥と比べた時に、相手視点はあまり気にしていないというか、たぶん自分が動いた時の相手の反応は騙しかもしれないし、微妙な違いで反応も違うはずだからあまり気にすると負ける(死ぬ)かもしれないので、見の目は弱めがよいと表現しているのかなと思います。世阿弥の場合は、観客からどう見られているかが商売なので、戦いとは似て非なるのかもしれませんが、戦術を練ったり、空手であれば形を練習するときには大切な視点です。

実践

例えば、受験勉強を例にしてみようと思います。個人的にスポーツと受験勉強は通じるところがあると思っているので、わかりやすさから勉強を例にしています。

「数学(算数)と国語のどちらを勉強するべきか」という問いがあったとします。空手なら突きか蹴りか、サッカーならドリブルかパスか。現実の問いはもっと複雑ですけどね。

当の本人にしてみれば、答えなどでない沼にはまるような問いかもしれませんが、メタ認知をすれば、どちらが正解かは状況によるとして客観的に答えが出ます。

まず問い直すべきは勉強の目的です。それにより把握すべき現状が異なります。

志望校合格
➤志望校の点数配分と問題との相性
学内順位を上げたい
➤学内における数学と国語のそれぞれの順位(低い方が上げやすい)
先生からの評価を上げたい
➤先生の担当教科(質問した方が評価が上がるらしい)

このようにメタ認知により彼我の置かれた状況を正確に把握することで問いへの適切な解答を得ます。また、さらに思考を深化させると、数学と国語のうち成績の上昇にかけなければいけないコストとリターンの大きさ・リターンを得るための期間が判断の材料になります。

このように「なぜ・どうやって・どうなる」を繰り返すことで、メタ認知の正確性や広さにつながります。

子供の場合は小学校高学年くらいからメタ認知能力が飛躍的に高まります。このメタ認知の多寡によりスポーツや学業の成績が決まるといってもいいかもしれません。

幼児教育では、「勉強(スポーツ)は楽しくやりましょう。楽しくないと続きませんし、伸びません」というのが謳い文句になっていますが、本質的には、楽しいと「どうやったら上手になるか?これを試したらどうなるか?」というのを考える機会が多くなるために、能力が上がっていくことにつながっているのだと思います。当然「楽しい」と感じることは非常に大事です。
そもそも自発的な関わりが「楽しさ」につながりますから、子供の教育においては、楽しさを大切にしつつ、考え方のヒントとして

「なんでそうなったのかな?どうしたらいいと思う?」

と問い。子供なりの答えが出た後に、

「じゃあ、やってみよう」

子供の考えを応援するとよいでのしょう。それが明らかに間違っていたとしても親が、あるいは指導者がそれを正してはいけないと思います。間違いには自ら気付けるようにならないといけません。


いかがでしょうか?
もちろん、うまくいかないことの方が多いでしょう。メタ認知は能力開発以外にも、精神的ストレスに適切に対処するための必須のスキルでもあるとと思います。また、物事の根本を考えようとする姿勢は、AI時代に求められる課題発見能力や解決能力に通じるものです。是非、ビジネス・趣味・子育てに活かしてみてください。

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投稿者: keisuikansagamihara

相模原市中央区の空手教室です。

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