先日、子供が転んだ時に、折れてはいなさそうだけど、やたら痛がって腕を動かさない状態になりました。実は以前に、お風呂で遊んでいる時に同じようなことが起きて、その時の診断が肘内障で、同じような痛がり方だったので、今回もそうだろうなとは思っていました。
通常は、腕が強く引っ張られた時に起こるのですが、手をついた時にも起きえる怪我で、空手でも結構起きえるので、本記事では肘内障についての啓発をしたいと思います。
肘内障ってなに?
まず肘内障について、あまりご存知ない方が多いかと思いますので、概説します。肘内障というのは、ざっくり言えば、5歳くらいまでの子供に起きやすい肘の脱臼(に近い)です。
肘の関節は肩関節にぶら下がる上腕骨とその先にある橈骨(親指側)と尺骨(小指側)の3本の骨で構成されています。
橈骨の上腕骨側は尺骨の側で輪状靭帯という硬い組織の束で固定されています。子供のうちはこの靭帯が緩いので、引っ張られたり、捻れたりしたときに外れかけてしまう事があります。これが、肘内障です。
肘内障になる状況
よくあるシチュエーションは、
- 転びそうになった我が子の手を咄嗟に引っ張った
- 駄々をこねる我が子を連れて行くために強く引っ張った
- 転んで、手をついた
- 手を持って、ジャイアントスイングした
こんなのが多いかなと思います。
肘内障の症状
症状としては、上述のイベントが起こった後に、子供が肘を少し曲げた状態で動かそうとせずに泣きじゃくるのですが、動かさずにじっとしていると痛くないのでテレビとか見せると泣き止みます。楽観的な親だと、子供が痛いと言って嘘をついていると思ってしまうかもしれません。そうはいっても、痛みは一貫性を持って訴えるので、だんだん不安になって病院に行くという流れの受診もありました。たいていは、あんまり腕を痛がるので、骨折じゃないかと思って、レントゲンを希望されます。骨折と違って、局部が腫れたり、熱を持ったりはしないのも、状態を軽く見てしまう原因かもしれません。見た目の印象に騙されてしまうのです。
これまた面白いのが、「痛いよ~」と泣いていたのに、自然に治ることもあります。病院の待合で治ってしまって、さぁ受診という時に、「治ったみたいです。。。」とバツが悪そうにする親御様もいました。
治し方
Youtubeとかに整復の仕方がたくさん出回っているので、興味があれば参考にしていただければと思います。やり方は簡単ですし、実際の整復を見ると、「あれっ?オイラにもできるんじゃね?」と思ってしまうかもしれません。繰り返す子供がいるご家庭では親が治しちゃうこともあるようです。
が、
個人的には、素人の整復はしない方がいいと思います。これは考え方の問題なのですが、骨折の可能性を否定しきれないからという理由を一番に挙げます。本当は骨折なのに、整復を何度も試みたら、その都度激痛を味合せることになりますので、可哀想かなと。。。加えて、肘内障は亜脱臼といって、脱臼「しかけ」なので、治るのですが、脱臼していると整復が難しいです。
もちろん一方で、「可能性としては肘内障の方が高いから、整復してみて、治ったらそれでよし、治らなかったら受診する。」というのもありますが、じっとしていれば痛くないので、不要な痛みを与えないという意味で、まずはレントゲンを撮った方がいいんじゃないかなと思っています。
以上、肘内障についてでした。正直、空手でミットついたりするくらいじゃ肘内障になんてならない子が多いですが、いざという時に慌てないために、知っておいていただきたいなと思います。
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