スポーツでも勉強でも努力は大事です。しかし、努力の仕方を間違えてしまえば、成果は出せず、無駄に頑張ってしまうことになりますから、成果を出すためには、努力の仕方も大事です。
計画性
「目標・目的管理をしていますか?」という記事を書いているので、成果を出すための計画性については、こちらを読んでいただければと思います。大きな成果を出すためには、細分化した目標の1つ1つが達成できているかどうかを確認しないと、気分次第で、やったりやらなかったりといった感じになり、バランスが悪くなります。
量
ある能力を取得して、一流になるには1万時間の練習あるいは勉強が必要と言う話は有名です。1万時間といったら、一日に活動できる時間が16時間で、ご飯等の生活のための時間以外をすべて、その事に費やしたとして、625日分、おおよそ2年間分の時間です。一日10時間として3年間分です。
逆に言えば、本気で2年ないし3年間分の努力をすれば、それなりになるということになります。
難しいのは、1日の中で、どれくらいの時間を努力のために作れるかという話です。
大学受験生であれば、勉強さえしていれば許されるので、「1日12時間勉強しました」ができますが、働いていたり、学校の勉強とは別の活動であれば、どうでしょうか?一日のうちに2時間確保できたら、凄いことなのかなという気がします。
ましてや、親の送り迎えが必要な習い事だったりであれば、もはや、週に何時間という世界になってしまいます。
質
そこで大事なのが、「質」です。
例えば、同じ100本のその場突きを連続でやれば、単に体力あるいは根性の練習になってしまいます。それを、声での号令ではなくて、指導者の突きに反応して突くようにすれば、視覚的な反射が鍛えられます。リズムを常に変えれば、集中力の持続が期待でき、漫然と突くことを防げます。また、本気の10本をインターバルありで10セットやった方が、100本連続で突くよりも、最大筋力の発揮時間は長くなり、効率的です。
量と時間の概念は分けて考える
「量が質に転化する」「質より量」「量より質」いろいろ言われていますが、私としては、どれもナンセンスです。質の良い練習を1日10分よりも、多少質の悪い練習でも1日2時間やった方が、パフォーマンスは高いのは明白です。また、量が質に転化するのも、量を重ねていく中で、少しずつ質を高める工夫があったからこそ成せることと思います。
そもそも、練習(勉強)の量を考えた場合についついやってしまうのは、「何時間練習(勉強)した」みたいに、時間をさも、量として考えてしまう事ですが、これは本質的ではありません。1時間かけて、腕立て伏せを1回やっても、「たくさん練習した」とは言わないですよね。
質×量×時間
成果を出すための要素は、2次元ではなく、時間を含めた3次元で考えるべきだと思います。一本一本がとても丁寧にやるのと、雑にやるのなら、丁寧にやるほうがよいでしょう。1分で60本突くのと、30本突くのでは、60本の方がいいのは明白で、1分やるのと5分やるのなら、5分の方がよいでしょう。
これまとめると、下のどっちがいいかという話に集約されます。
- 丁寧×60本/分×5分
- 雑×30本/分×1分
上の2つの式は、質×量×時間です。その人のレベルで量と時間は決めたらいいと思いますので、あくまで考え方の例として理解してください。
具体例
例えば、私どもの空手教室は、一回の練習がだいたい1時間から1時間半です。それを週に2回くらい来てくれる生徒が多いかなと思います。週あたり3時間で、出せ得る最高の成果をださないといけませんから、漫然と基本練習をすることはしません。
まず、遊びのようなケンケン鬼ごっこでフィジカル・体力を鍛えつつ、身体を温めます。その後すぐに、短時間の黙想と礼をします。礼儀作法をルーティン化して身に着けるためと集中力を高めるためです。ケンケン鬼ごっこで乱れた呼吸を整えることもできるため、次の稽古への支障を最小限にします。身体が温まったら、柔軟体操をします。空手の練習で最初に行うことは基本稽古です。基本稽古で体力を奪うことはしません。必ず、引手などのフォームを注意しつつ、集中力を高めるための声掛けをしつつ、様々な工夫で、同じ時間で得られるものが大きくなるようにします。基本稽古に飽きてそうなそぶりがあれば、遊びのようなトレーニングに移します。ふざけてだらだらしているのに対して、「集中して」とか「ちゃんとやろうよ」みたいな声掛けをする暇があれば、狭い空間で、身体の切り返しを多用しなくてはいけない追いかけっこのような遊びでフィジカルの能力を上げた方が1万倍はいい時間の使い方です。
こんな感じで、単位時間あたりの練習の質と量を意識することが肝心です。さらに、自分で時間をコントロールできるなら、一日の中でどれくらいの時間を割けるかも意識するとよいでしょう。
そもそも子供の集中できる時間は5分と割り切って練習を組み立てるようにしないといけません。そうそう、子供も大人も少しだけ難しい何かに挑戦している時が一番集中します。また別の機会に。
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