〇〇で腕の筋肉を操作する

縦拳と正拳では突くための筋肉が微妙に異なることを説明した記事を読んでくれましたでしょうか?まだという方は「空手で正拳(横拳)が必然である理由」をお読み下さるとこの記事の前座になります。

縦拳と正拳はそれぞれで使い所が異なるわけで、どちらの性質も理解しておくことが強くなるためには必要です。縦拳と正拳は似ているからこそ、筋肉の操作を意識的に分けないといけません。この記事では、そのためのヒントをお伝えします。

腕とつながる手

当たり前ですが、腕には手がつながっています。そして腕から手にかけて、首にある頸髄から5,6本に枝分かれした神経が合流したり、分かれたりしながら、手の方にのびている感じです。

ここで実験です。

中指を手首につけてみてください。このときの腕全体の感覚で何か気が付きませんでしょうか?

きっと、手首は曲がり前腕に筋肉の緊張がありますよね。意識をもう少し体幹よりにやると、上腕二頭筋も少し力が入っているかと思います。実は、中指を曲げる神経と上腕二頭筋を動かすための神経は根本が一緒です。頸髄から先の神経は脳から抑制を受けていて、いざ動かそうとするときに、抑制レベルが調整されます。中指を曲げるためのに脳からの抑制レベルを低下させると、根本を同じにする上腕二頭筋の運動の抑制レベルも低下するのです。

このように、手の形で前腕、上腕、肩の筋肉の緊張を変化させることができます。

突くための手

ここで、突く動作をスムーズに行うための手の形を考えて見ます。

まず第一に腕を伸ばすことを考えると、上腕三頭筋を働かせたいですね。この時に働く神経は橈骨神経です。橈骨神経は指を伸ばす筋肉も支配します。どの指でもいいのですが、一番自然な手の形は「人指指」という名称がつくくらいですから、第2指を伸ばす意識でいいと思います。曲げる意識を持つと上腕二頭筋に力が入り、肘の伸展が妨げられます。

次に必要なのが手首を内側に回す動きです。これにも橈骨神経が関わってはいるのですが、より大事になるのが、尺骨神経です。尺骨神経は親指を除くすべての指の屈曲や指の間を締め付ける筋肉をつかさどります。巨体を投げる日本の伝統的な格闘技である相撲ではどれだけ小指を鍛えるかが重要なようですし、野球でも「ボールは小指で投げる」という格言があるとかないとか。中指が微妙な立ち位置にいるのですが、たいていは小指と薬指に尺骨神経の感覚枝があるので、この二本を意識して曲げていくといいですね。そして伸ばしていきながら、徐々に人差し指と親指も握り込まれていく感じです。

最終的に突きのインパクトの時にはすべての指が握り込まれると思います。ここで、気を抜いてはいけません。インパクトを確実に対象に伝えるためには、腕全体の筋肉が収縮している必要があります。正拳では、腕は外側に回った(外旋)まま、手首は身体の内側に返していく(内旋)という、互いに背反する筋肉を使う意識が重要です。この一連の流れで突きを出せば、肩が挙上することがなく、前鋸筋・小胸筋を十分につかって最大のリーチを得てパワーを伝えることができます。

つきつめていくと、腕を伸ばしきるまでは掌(手のひら)が上をむいていて、最後の最後で手首を返すという、基本に忠実な動きが再現されます。

引手の時

突いて終わりではありません。

突きっぱなしでは、次の攻撃がやりにくいですし、相手に手をとられてしまうかもしれませんから、素早く拳を引かないといけません。

拳を引くためには腕を曲げないといけませんから、腕を伸ばす筋肉を緩める必要があります。当然、手の握りは解放しますが、この時に指を伸ばそうとすると、腕を伸ばす筋肉の解放がうまくいきませんから、自然な脱力のみでOKです。拳を体幹のほうに引く際に掌が下を向いていると、前鋸筋や上腕三頭筋が働いてしまいます。引手の最初は、掌を上に向けつつ、手首を屈曲させると、上腕二頭筋が働きやすいです。

また、すこし話がそれますが、引手の際には広背筋等の背中の筋肉を使って肩甲骨を内側に寄せるような意識を強く持つといいです。自然と腰が回ります。「腰で突く」とか「腰で引く」は目に見える現象から想起された誤解的な表現です。腰をねじる筋肉は主としてインナーマッスルと呼ばれる深層の小さい筋肉であり、前方に放った大きな力をインナーマッスル主導で後方に返す動きには無理が生じます。

おまけ

これらの一連の動きを全ての筋肉を意識して行うことは至難です。亀のごとくゆっくりとした動作で丁寧に筋肉と対話していくと(いい表現が思いつきません)、徐々にではあっても、一度に多くの筋肉を意識できるようになります。私もまだ道半ばです。


いかがでしたでしょうか?年齢を重ねるほど理屈がないと理解しないようになるようです。とはいえ、理屈なしで指導はできません。身に着ける側としても何を重点的にやるかの指針があったほうがよいと思うので、この記事を参考にして下されば幸いです。

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投稿者: keisuikansagamihara

相模原市中央区の空手教室です。

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