筋肉はとっても重要です。よく、「年とったなぁ」という言葉を聞きますが、筋肉で解決できることもあります。※アイキャッチ画像ほどの筋肉はいりません。
今回の記事は私が普段の診療で常々感じていることを書きます。
筋力低下の弊害
筋力低下により生活の質はかなり低下します。私が担当する患者さんが訴えることの8割は筋トレで解決できると思っていますし、この考えを支持する研究結果はたくさんあります。患者さんがよく訴えることを挙げ連ねてみれば、
- 肩や腰などの関節痛
- 便秘
- 熟睡感の低下
- 食欲低下
- 歩行速度の低下
- 躓きやすい
- 認知機能の低下
- etc. . .
大抵はこのどれかが問題だとして相談されます。医師として、それぞれに合わせて薬を出すわけですが、薬ですべて解決できるわけではありません。そして、本当の意味で、治るためには自分の努力が必要です。いくつかの例をご紹介します。
糖尿病だって治る
正確にいうと、「治るかもしれない」ではあります。一時期、スクワットしたら糖尿病が治るという内容の本が出て、たくさん広告されていましたよね。
実際、私の担当していた老人ホームの方で、1日20回のスクワットをやり続けていたら、糖尿病の薬が不要になった方がいました。
一人の例を挙げて、真実のように言うわけではありません。そういう人もいたという話です。でも、同じような人がいるはずだと思うには十分かと思います。
関節痛
筋肉は関節を動かすだけでなく、その保護も担っています。例えば歩行時に膝関節にかかるはずだった力はふくらはぎの筋肉がクッションになって和らげてくれます。自動車や自転車のピストンのようなイメージです。
日本人は腰痛が多く、産業分野でも大変な損失になることがわかっています。腰痛の多くは腰方形筋という骨盤と脊椎をつなげる筋肉のバランスが悪かったりする、脊椎の安定性が低くなり、腰痛として現れます。
腹筋や背筋を鍛えて脊椎の安定を助けることも解決法の一つですし、そもそもの痛みの原因になっている筋肉のストレッチやトレーニングで、腰痛は改善します。
その他、腸腰筋という足を上げる筋肉が弱まると、内股での歩行が状態化して、歩行の度に膝の回旋がおこり、痛みが出てしまいます。
便秘
排便時は筋肉で腹圧を高めます。腹圧がかかると、腸管内の便秘が動かされて排便がしやすくなることに加え、身体の安定感が増して、転倒しそうな時に身体のバランスを整えてくれます。
転倒予防
施設には転倒で大腿骨が折れてしまって、十分に歩けなくなった方もいます。高齢者の転倒はほんの1cmの段差でも起きるのですが、もしちゃんと腸腰筋を鍛えていたら、起きなかったかもしれないものです。
これも施設の入居者さんに歩行について相談された時にいうことですが、歩く時は5m以上前を見るようにしましょう。歩行時に下を見ていると、十分に脚を引き上げることができないのと、前に重心がかかるために転倒時の咄嗟の一歩に大きな力が必要になってしまいます。
認知機能
施設入居の高齢者を対象にした研究で、運動が認知機能を高めるという結果が発表されています。
血流が良くなるために、脳に酸素が運ばれるからかもしれないし、活動性が高まるがために、認知テストの成績が上がったのかもしれません。
いずれにしろ、運動介入は認知機能にも良い影響をもたらします。
いかがでしょうか?筋肉は鍛えないとすぐに落ちてしまいます。だから、早め早めに筋肉が落ちないように努力しないといけません。
空手の形はほぼ左右対称で、ちゃんとやれば一回で全身の筋肉が鍛えられます。しかも、個人でできるので、ケガの心配が少ないというメリットしかない運動です。是非一緒に練習しましょう。