ボクサー筋って聞いたことありますか?ボクシングなどパンチで相手を倒すことを目指すスポーツでは、関心が高い筋肉です。競技化された空手においては重さよりも速さが重視されるために、あまり注目されない筋肉ですが、沖縄拳法としての空手においては自らの体重を相手に叩き込む際に、力が後方に抜けないための技術として伝えられています。
日常生活ではサボリ筋
いきなり答えをいいますが、強く速い突きを出すためには前鋸筋が重要です。これは肩甲骨を開く動作、腕を前方に伸ばす動作に使われます(正確には肩甲骨が固定されている場合は肋骨を引き上げる作用もあります)。肋骨のやや前方から始まって肩甲骨にくっついています。空手の突きは腕を前方に伸ばす動作ですから、この筋肉が重要であることは自明です。
が、
この筋肉は、通常の生活ではあまり使われません。大昔もきっとそうだったのでしょう。一応はないと困る機能なので、最低限残っている感じなんだと思います。鍛えずに発揮できる筋力は弱めです。
パソコン作業が多い仕事では、肩甲骨が開かれたままになり、この前鋸筋が凝り固まっって(あるいは弛緩しきって)しまいます。すると、肩を挙上させようとしたときに、その凝りが動作を邪魔してしまい、「肩があがらないorz」という状態になります。肩甲骨が開かれたままだと、広背筋が伸びたままになりますから、猫背を作る要因にもなります。なお、肩こりは頭部を支えるために僧帽筋が頑張りすぎている結果です。
前鋸筋を動かす
まずは、突きを伸ばすための筋肉を意識できるように(そして四十肩の改善・予防のため)、前鋸筋を動かしてみましょう。以下の手順でやってみてくださいね。
- 四つん這いになって、腕を伸ばす
- なるべく前方に重心がくるように調整する(無理ない範囲で)
- 肩甲骨を寄せる
- 腕をぐ~っと伸ばして背中を丸める
- 3と4を繰り返す
脇のあたりを使えている感覚を掴んでください。繰り返す回数は何回でもかまいません。ちなみに、身体の表面から触ろうと思っても大胸筋や広背筋と間違えること必死です。鍛えても、かなり体脂肪率を下げないと脂肪に埋もれてしまうからです。感じてください。詠春拳では、広背筋等が引き伸ばされる感覚として教えられるようです。
前鋸筋を鍛える
前鋸筋を使う感覚がつかめたら、いよいよ鍛える段階です。負荷が少ない順に列記します。重すぎる負荷は前鋸筋以外の筋肉を使ってしまうことが多いので、自重か使ってもゴムぐらいがいいと思います。
だから基本は腕立て伏せの姿勢で先程の肩甲骨の開閉運動を行います。
- 膝つき
- 通常
- 足を台に乗せて
- カエル逆立ち
- タックプランシェ
- フルプランシェ
どれも肘関節は伸ばしたままにすることが肝心です。2,3で片腕ずつというのもいいですね。4までは小学生でもできるので、目指したいところです。5,6は無理ゲーです。興味あれば、You Tube等で調べて下さい。
空手に伝わる鍛錬法
空手にも前鋸筋を鍛える方法があります。ただし、これは和道にはあまり伝わっている方法ではなく、沖縄拳法空手、剛柔流などの一部に伝わっています。私は知識として知っているのみで、実際に指導を受けたわけではありません。ですので、「チンクチ(一寸力)」というキーワードで本やインターネットで調べて見てください。どなたかご存知の親切な方がいらっしゃいましたら、ご教授頂きたいです。
いかがでしたでしょうか?私は高校大学の時はろくに調べもせずにがむしゃらに練習していたので、もっと早く知っていればなぁと思わずにはいられません。だからこそ私が持っている知識を、練習生には積極的に伝えていきたいなと思います。この記事で書いた筋トレ以外にも、いろいろな筋トレメニューがありますので、是非ご一緒に。
何事もバランスが大事ですので、くれぐれも前鋸筋だけを鍛えるようなことはないようにお願いします。
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