子供が安心してチャレンジできるようになるには、どうしたらいいのかという問いへの答えです。これは、こどもだけでなく、会社や部活などの指導においても重要なことです。
チャレンジを阻むもの
チャレンジをするということは「勇気があること」「意思が強いこと」とは別物です。脳は、常にチャレンジを求めています。赤ちゃんは寝ていればごはんがもらえるのに、寝返りをうち、座り、立ち上がろうとしている様子を見れば、明白です。チャレンジは脳に刻まれた本能ともいえます。(言い過ぎですか?)
でも、多くの人はチャレンジができずに悩みます。なぜでしょうか。
チャレンジというのは新しい可能性を追い求めることです。その可能性の中には多くの得になることと損になることが混在しています。チャレンジするかしないかの瀬戸際の時にはこの損得を比べて、最終的な判断を下します。
しかし、人は無意識のうちに得をすることよりも損をしないような選択をするようにできています。チャレンジばっかりしようとして、がけから飛び降りたら死にますからある程度の抑制も必要という事で備わっているのですが、これが強すぎるとチャレンジができなくなってしまいます。この性質を損失回避の法則といいます。
子供にとっての損失
子供にとって、損失は金銭的なものではありません。命の大切についても無頓着といえるほどかもしれません。
子供にとってもチャレンジというのは大変な行為です。もちろん大人に比べて経験がないので、失敗の可能性についても大人に比べれば浅はかな考えしかありません。それでもチャレンジは怖いのです。
「どんな結果になるかわからない」「失敗したら恥ずかしい」「失敗したら怒られるかも」などなどいろいろな葛藤が心の中に生まれます。
つまり、子供にとっての損失の多くは恥や恐怖といった無根拠な不安、つまり感情だということです。
不安を克服する
大人でも感情の克服には相当な胆力が必要と想像されます。でもこれを克服しない事にはチャレンジすらできません。
いろいろな不安でチャレンジが阻害されていると言えますが、でも逆に、
「失敗しても大丈夫」と思えたら、子供は安心してチャレンジできるとも言えます。その大丈夫の根拠になりえるものの一つが親の存在です。「失敗しても親が何とかしてくれる」「失敗しても親は自分を認めてくれる」と無根拠に思えると「失敗しても大丈夫」となって、いろいろなことにチャレンジするようになります。
躾のつもりで、子供のやることなすこと全てに「あれはダメ、これもダメ」「もっと○○しなさい」と言い続けていては、子供は主体的な行動選択をしなくなってしまいます。最悪なのは、「もう、だからやめろと言ったでしょう、自分で何とかしなさい」です。
「もう」
➤失敗すると親が落胆する・怒る
「だからやめろと言ったでしょ」
➤親がやめろといったことは失敗する可能性が高い。親に聞いてからやるようにしよう
「自分で何とかしなさい」
➤失敗したら自分で後処理しなきゃいけない
親がかける言葉はなるべくポジティブかつサポーティブなほうがよいので、例えばこんなのはどうでしょうか。
「失敗しちゃったね。大丈夫。もう一回やってみようか」
「失敗したのはなんでだろうね。何か手伝おうか」
お気に入りの曲
最後に最近聞いたお気に入りの子供向けの曲の歌詞をご紹介します。
♪ しっぱいしたって いいよ
♪ じょうずじゃなくても いいよ
♪ きをとりなおして いくよ
♪ がんばってるから いいよ
You Tubeにあるピンキッズという子供向けの動画チャンネルで、こんな深い歌詞があるとは思いませんでした。子供の生活習慣を身に着けてもらうための応援歌のようです。
いかがでしたでしょうか?子供に対して「失敗してもいいんだよ」「何があっても味方だよ」というメッセージを発し続けることが大切なのだと思います。そうしていると子供は安心してチャレンジしてくれることでしょう。
しかし、チャレンジの先には多くの失敗が待っているでしょう。失敗するとやっぱり心のダメージは甚大です。学習性無力感というのもあって、失敗ばかり続くと子供はそのうちに、「ドウセヤッテモ無駄ヨ」となってしまいます。だから、子供のうちは過度な失敗がないように大人のサポートが必要です。あんまり無理させてはいけません。難しいですね。
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