私自身の経験で恐縮ですが、考えて練習するようになってから空手が上手になったと感じます。というか、おおよそ対人スポーツは個人であれ団体であれ頭が良くないと勝てません。
なぜ受けるか
スポーツ空手における組手は高速の攻撃が飛び交う世界です。選手たちは足を使って決定打を回避しつつ反撃の機会を伺います。引手や引き足も速いので触れることすら難しいです。形練習でやるような上段受けや内受けなどはやる暇がありません。では、なぜ受けの練習をするのでしょうか?
和道では基本組手という練習があります。基本組手で見られる動作はすべて、形通りの受け方はほとんどありません。基本的には足を動かすことで正中線をずらし、攻撃の軌道から外れるようにして、受けはおまけのように添えられるのみです。
よくある勘違い
受けの練習で、初心者が勘違いしがちなのは、「受けがそれだけで終わるもの」というふうに思ってしまうことです。初心者が習うピンアン形が抽象化されすぎていることもそれを助長しているような気はします。例えばピンアン二段の3連の上段受けの後は、斜め後方に転身しながらまた受けます。初段では最後の4挙動はすべて手刀受けです。四段の最後も五段の最後も受けで終わります。私が勘違いしていたのは、こういうのが多いからだと断言します(言い訳)。
実際の戦いで、受けて終わるわけがないことはちょっと考えればわかりそうなものなのに、思考停止は本当に恐ろしいです。
受けた後には
当然、戦いで相手を制するには攻撃しないといけません。突くなり蹴るなり転がして極めるなりしないといけないという事です。つまり、受けた後には必ず攻撃があるということです。
初心者のうちは形の意味なんて考える余裕はないと思いますが、次の攻撃を意識するように指導することが大切かなと思います。組手でも受けて・受けて・受けて・逃げて・受けてという試合を見かけます。それはそれですごいことなのですが、受けた後には必ず攻撃をする意識づけはしたいですね。
そういう意味ではピンアン二段の最初の2挙動はいいですね。「左鉄槌で攻撃に対する受け(かつ攻撃)からの追い突きでのとどめ」という流れは受けたら攻撃というパターンになっています。
もっというと、これは昔教えられたことなのですが、下段払いや手刀受けはそこに続く攻撃があるということです。下段払いは払いと突きが一体になっていて、手刀受けも受けた後の手刀打ちあるいは頸部への貫手が続くとのことでした。(外受けや内受けについては知りませんが、関節を極めにいってるのでしょうか?)
最近の組手では、冒頭で書いた通り圧倒的に回避に主眼が置かれています。その方がポイントを取りやすいからです。以前はそうではありませんでした。攻撃に対して前に出ていくスタイルも多かったと記憶しています。前に出るためには相手の腕が邪魔になるので、受けてから相手の身体を流すように近づくという技術もありました。今は、ルール上両手で相手を掴むことが禁止されているため投げることの難易度が高いので、それを狙うよりは回避して距離を保ちつつ反撃の機会を狙う方が効率がいいんだと思います。
いかがでしたでしょうか?空手を教える以上は、相手を制する技術も教えるべきだと思いますし、受ける練習は攻撃を見切る能力にもつながるので、受けと攻撃を一体にすることを教えていくことは大切かと思います。(今後ルールがまた変わって投げを有効にした方がよくなるかもしれないですし)
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