最近、医療系の記事を書いていないので、ちょっと情報提供ということで書きます。タイトルは映画のパロディです。
最近はコロナウイルスの感染者数が減ってきているところですが、油断ならないことは事実です。インフルエンザよりも感染力が強いですし、感染した場合の重症化・致死率もそれなりに高いからです。今は、ワクチンの効果で重症度が全体的に下がっているようですが、その効果が切れる頃に再度ブレイクすることは十分考えられます。
今やっている対策はコロナウイルスだけではなく、他の感染症も劇的に減らす効果があるので、続けていきたいところですね。もちろん、各対策の有効性はそれぞれ検証される必要があります。例えば、アクリル板については、場所を選ばないと気流を制限することになるので、むしろ逆効果になりえることも指摘されています。
本題
コロナウイルスはその存在が認識されてから今まで、日本では約2万人の命を奪いました。しかし、日本にはコロナウイルスよりも多くの人を苦しめ、あるいは殺しているやつがいます。
タバコです。
タバコが年間何人の命を奪っているかご存知ですか?
WHOが2019年に約20万人と試算してくれました。日本からの発表だと約10万人なのですが、それでも、コロナウイルスの10倍以上ですから、医師の立場としては
「もうやめようぜ」
と言いたいです。タバコで起こる病気には肺がんやCOPDなどがあり、いずれも酸素を常時吸っていないと苦しくてしょうがないような状態になり、それが数か月から数年にも及びます。コロナウイルスでの苦しみの期間よりもずっと長いです。さらに、心筋梗塞や脳卒中という目も当てられないようなつらい病気も引き起こし得ることがわかっています。
タバコは個人の問題ではない
「コロナウイルスの対策をするのは、他人に移す可能性があるから。タバコは他人には影響しないから、アルコールと一緒だろ!」
という愛煙家の方の声が聞こえてきます。
確かにタバコの影響が一番大きいのは吸っている本人ではあるのですが、たばこから出る煙(副流煙)にも健康影響があります。具体的には、年間で約1万人が副流煙による健康被害で(文字通り)苦しみ、亡くなっています。ほぼ日本のコロナ死者と同程度ですね。しかも、
「煙がなかったらいいだろ!」
というわけでもないから厄介です。実は喫煙後にも肺の中に多量の有害成分が残っていて、会話や、なんなら、ただ息をしているだけでも、周囲に有害物質をまき散らしているのです。
対策
煙を吸わなきゃいいし、吐いた息が外に出なきゃいいという発想で、
「マスクをすればだいじょうーV!」
では、まったくありません。
マスクで副流煙を吸わないためには、PM2.5対策ができるくらいの高性能なマスクでないといけません。高額ですし、そのマスクをしていること自体が苦しすぎるので長時間の使用には向いていません。
普通のマスクで対応するなら、完璧な装着で、2重にするかガーゼを挟むなどしないといけません。ご家庭でマスクをする人は皆無でしょうから、副流煙対策など不可能といっても過言ではないと思います。
しかも、これら副流煙というのは、子供や女性などへの影響が強いことがわかっています。
影響の大きさを考えると、幼稚園・保育園・小学校から大学まで、おおよそ未成年に接する機会があるすべての大人はタバコを吸わない・吸わせないぐらいのことをしないとダメだと思います。これだけ、コロナウイルスで騒ぐなら、他人への影響が大きいタバコだってもっと取り上げられてもよさそうですが、そこはJ〇さんへの配慮でしょうか?
ちょっと感情的な記事ですいません。もともと喫煙対策の甘さは気になっていましたが、社会のバランスを考えたらある程度は許容しないといけないかなと思っていました。でも、タバコよりもはるかに少ない死者数でしかないコロナウイルスへの対策をみて、その矛盾に憤り、この記事を書きました。
家族や友人がタバコを吸っている人は、是非この記事で書かれている事実を教えてあげてください。知らない人は結構いてるんじゃないかなと思っていますし、もし、この事実を知ったうえで、どう行動するかでその人の人間力が問われるような気がします。