スポーツをめちゃめちゃ頑張っている人って元気なイメージありませんか?もちろん筋肉だって人より多いし、頑張る気持ちもあります。でも、頑張りすぎると逆に頑張れなくなるかもしれないので注意が必要です。この記事では、運動によって悪い健康影響の1つである貧血についてお伝えします。
運動で貧血(スポーツ貧血)
強度の高い運動を続けていると貧血になりやすいです。発汗による鉄分の喪失や、筋肉での酸素需要の増大、足底部への強い衝撃による赤血球の破壊などが原因になります。長距離ランナーでよくみられる他に、空手や剣道のような素足で硬い床を激しく踏み込むような競技では、踏み込みのせいで酸素の運び屋である赤血球さんを壊してしまうため、貧血が生じることがよくあります。こうしたスポーツに関連した貧血をスポーツ貧血と呼びます。若い人では、成長期には筋肉量が急激に増えることで、鉄分が足りなくなることもありますし、女子は月経血により血が定期的になくなってしまうことで貧血が生じることがあります。
血の色の理由
心臓から元気に飛び出した血液は全身の隅々に酸素を運びます。酸素を運び終えると、静脈という血管に流れ込み、今度は酸素を受け取るために、肺に向かいます。1分間で酸素を運べる量は、血の中にどれくらい赤血球があるかによって決まります。赤血球は鉄を主成分とするヘムと蛋白質がメインのグロビンでできています。(その名はヘモグロビンです)なので、何らかの理由で鉄が少なくなると赤血球が少なくなってしまいます。ヘムは酸素を受け取ると赤く見え、二酸化炭素を持っていると黒っぽく見えます。だから、人間の動脈の血が赤いのは赤血球という酸素の運び屋が酸素を持っているからということになります。
貧血の症状
では、赤血球がすくない、つまり、全身の酸素の需要に対して酸素の供給が少ないとどうなるのでしょうか?
息を1分くらい止めてみると、めちゃくちゃ苦しいですよね?
全身の細胞たちも同じことを思っています。この苦しいという感覚が軽微だと怠い感じ(倦怠感)として感じられます。そして、酸素が少ないなりに頑張って動こうとすると、嫌気性代謝といって、酸素を使わない活動をしますが、その副作用として乳酸という成分が出てきます。この乳酸は身体のpHを酸性に傾けてしまいます。酸性に傾いた状態では、嘔気・嘔吐や疲れやすさが症状として現れます。(身体が「もう、休ませて―!」というサイン)身体は何とか元の状態に戻そうとして二酸化炭素を多く排出しようと企み、呼吸回数を多くします。早い呼吸というのは浅くなりがちで、二酸化炭素の交換はできても酸素の交換は少なくなってしまい、根本解決ができていないという困った状態です。(これは空手の息吹で何とかできる)これで無理をして身体を動かそうとすると、余計に酸素が足りなくなってしまって、症状が悪化してしまいます。もう、悪循環以外の何物でもありません。
まとめると、貧血では、嘔気・嘔吐・疲れやすさ・倦怠感が生じます。
対策
血液検査での正常範囲の数値はあくまで、大勢の検査値から算出された値ですので、一番大事なのは個人個人の感じ方です。正常範囲と比べて少ないヘモグロビンしかなくても、活動量が少なければ、何ともないっていう人もざらにいます。もし、上述したような状態が定期的にくるようなら、血の質を上げる努力をしてもいいかもしれません。
真っ先に思い浮かぶのは鉄分を多く含んだ食べ物の摂取ですね。例えば、赤身の肉やレバーには多くの鉄分が含まれていますし、蛋白質も多く摂取できます。吸収されやすい形の鉄になっているので、なおおすすめです。野菜や果物に含まれる鉄分はそのままだと吸収されにくいので、ビタミンCなどと一緒に摂取するとよいです。(栄養については、本とかで勉強してください)逆にやってはいけないのが、コーヒーやウーロン茶などタンニンという成分を含む飲料を食事と一緒に取ると鉄の吸収が落ちてしまいます。
一番のおすすめはフライパンや、やかんなどを鉄製の調理器具を使うことです。昔は鉄製の調理器具が多かったのですが、最近はステンレスなど軽い素材を使ったものが増えてしまったために、鉄の摂取量が落ちているといわれています。調理器具を鉄にするだけで、何も考えなくても鉄分がとれるので、私のようなずぼらさんにはお勧めです。
あとは、食べ物だけだと鉄の不足を補うにはこころ元ないので、いっそサプリメントを使うことも考えていいと思います。できれば葉酸やビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB12(コバラミン)など赤血球を作るために必要な栄養素も同時にとれるようなものがよいと思います。
対策上の注意
過ぎたれば及ばざるがごとし。鉄分の摂りすぎによる健康被害もありますので、一日あたりだいたい40mg程度に収まるように気を付けてください。鉄が過剰になると、それも疲れやすさの原因になりますし、肝障害や関節の痛みなども引き起こす可能性があります。
いかがでしたでしょうか?
スポーツ貧血はけっこう侮れなくて、ちゃんと対策すると、日頃の倦怠感も改善して、日々の練習の質も上がりますし、成績があがったという報告もされています。どんなにやる気があっても、日々練習していれば、怠い日だってあるかもしれませんが、あまりにもそういうのが多い時には一度医者に相談してもいいと思いますよ。
あと、運動の指導者も知らない人が多いみたいなので、頑張れない選手たちに、「たるんでるぞ!」と精神論のみで語らずに、頑張りすぎている可能性についても考えて頂けたら幸いです。
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