皆さんは、試合や試験に臨むとき、どんな精神状態になって、どんなことを考えていますか?
試合だったら「勝ちたい」、試験だったら「いい成績をとりたい」とかそんなことを考えるでしょうか?
精神状態については人によって、緊張の程度は異なり、不安でしょうがなくなる人、テンションが高くなる人、様々かと思います。
今回は、精神状態とパフォーマンスをテーマに記事を書こうと思います。
ある実験
1つご紹介したい心理実験があります。ある大学で優秀な学生に対して試験を行いました。全員同程度の優秀な成績でした。後日、再度試験を課しました。その試験では学生の成績を表示しました。すると、もともと同程度だった成績が2手に分かれました。成績が下がったグループと上がったグループです。
いったい、何が起きたのでしょうか?
成績に直結する脳
研究者たちが上述の実験において、2つのグループの脳の活動を調べたところ、扁桃体と前頭葉の活動に違いがみられたようです。恐怖や不安などの感情(医学的には情動とも言います)の処理は扁桃体という部位が大きな役割を占めています。一方試験を遂行するためには前頭葉での認知や計画が重要です。成績が下がったグループでは、扁桃体が活動しっぱなしだったのに比べて、成績が上がったグループでは当初は扁桃体が活発だったものの、その後急速に扁桃体の活動が弱まり、代わりに前頭葉の活動性が上がっていたようです。
これが意味するところは、不安や恐怖などの感情のコントロールは脳の認知的活動に悪影響をもたらすという事です。成績が上がったグループでは意識的に感情をコントロールしていたのではないかと考えられています。
試験や試合で優先すべきこと
よく、試合前に円陣を組んで気合をいれたり、試験前に予備校で「エイ!エイ!オー!」といって、テンションをあげていますが、上の例から読み取れるのは、そうした感情を昂らせる行為はもしかしたら逆効果なのかもしれないということです。
例えば、空手の試合で、「勝ちたい!勝ちたい!勝ちたい!勝ちたい!・・・・」だけ考えていたら、テンションは高くなるかもしれませんが、実際の相手の動きに対しての思考が妨げられます。試合では何をしてくるか予想したり、予想外に対処しないといけないので、常に相手のことを考えなくてはいけません。
試験でも、「いい成績をとるぞ!」「落ちたくない」「受かりたい」と考えていたらどうでしょうか?本当に大事な目の前の問題に100%集中できなさそうと思えてきませんか?
だから、本当に優先するべきは、「気合を入れること」ではなく、「目の前の仕事に集中すること」なのです。緊張で普段のパフォーマンスが出せないのは、不安だったりという感情が無駄に交感神経を高ぶらせ筋肉の働きを抑えてしまい、悪いパフォーマンスに対する不安がさらに思考力を奪ってしまうという悪循環になるからです。「試合を楽しめ」という声かけもありますが、不安の反対の感情を持たせて感情の程度をプラマイ0くらいにしたいなという発想ではいいかもしれませんが、楽しんで勝つことと楽しんで負けることはほぼ同義です。
いかがでしたでしょうか?
「まず1回戦の相手に、自分の技をどう入れるか考えよう」とか「試験では出題者の意図まで読めるくらい頭を働かせよう」とかの事実ベースの声掛けのほうがパフォーマンスを上げるためには必要なのだと思います。私もつい、「もっと試合を楽しめよ」とめちゃくちゃ抽象的な言葉を言ってしまっていたので、気をつけます。事実に目を向けることの大切さは別記事「その考え方や感情は変えられます」でも説明しているので、是非読んでください。
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