その考え方や感情は変えられます

愛煙家の方に、「たばこを嫌いになれ」といっても無理な話であることは明白ですよね。でも、たばこに対する認識を少しずつ変えていけば、禁煙することも可能です。そうした認識を変えることを治療にしようというのが、認知行動療法というものになります。

どんな方法か

認知行動療法という言葉を聞いたことがある方は少ないかと思います。この方法は簡単に言えば、日常生活上問題が発生しうる個人が持つ考え方の癖を、振り返りを通じて、その歪さを認識し、適切と思える考え方に修正していく方法です。医療では不安障害やうつ病患者さん、不眠症の患者さんにその有効性が示されており、その他にも発達障害児の怒りや不安のコントロールにも有効である可能性があり、現在研究が進められています。

この認知行動療法の肝を一言で表現すると、

  「客観的に認知する

これにつきます。発達障害児の中にはこだわりが強い特性をもつタイプの子供がいますが、そのこだわりを受容しつつ、そのこだわりについて、なぜこだわるのか?を問いかけます。その理由がわかれば、こだわりの対象と類似する別の事に興味をむけることができるかもしれません。また、集中をかく子供であれば、なぜ集中が切れやすいかをまず考えます。それが、もしかしたら前髪が目にかかっているからかもしれないし、下着の着心地がわるいのかもしれません。そうした、各種問題に対する根本理由を挙げていき、その共通点をあぶりだします。根本理由を考える過程で、自らを客観的に認知するスキルが磨かれていきます。

この方法は、個人にも集団にも適用できます。また、治療だけでなく、子育てや認知症患者さんの家族のストレスケアなどに応用可能です。

実践

例えば、未就学児でこんな状況多くないですか?

こどもが全くいう事を聞かない(現象)
私は子育てに向いていない・へたくそ・資格がない(思考)
悲しくなる・怒る(感情)

これに認知行動療法を当てはめてみます。

現状把握

こどもが全くいう事を聞かないという現象に対して、
まずは、現象が起こる状況を整理し、その理由を考えます。

「こういう時はだいたい夜寝る前だな」だったら、
「眠いのかもしれないな」とか「もっと遊びたいと思っている」という理由が考えられます。

「夫婦で話している時」だったら、
「話を聞いてほしいのかもしれない」という理由を考えます。

思考

これらの理由を考えると、最初の例とは別の思考が出てくるはずです。例えば、

「もっと早く寝かせてみよう」「一緒に遊ぶ時間を10分だけでも取ってみようかな」
「保育園での出来事をもっと質問してみようかな」

などです。

感情

この思考が、もはや自分に向いていないことに気づかれたのではないでしょうか?事実に対してその理由を考えると、もはや自分から自分への評価がなくなり、代わりに、現象に対する解決方法を考えています。
すると、感情はどうなりそうですか?きっと、悲しいとか怒るではなく、「やってみよう」というポジティブなものに変化します。

この一連の思考過程が認知行動療法です。正解はないので、試行錯誤を繰り返すことになります。自らの思考過程を事実として、同様の方法を実践すると、どうしようもない事象に対する感情をコントロールすることができます。

事実を客観視すると集団でも感情をコントロールできる

空手教室をやっていると、発達障害かなと思うような子供も入会していて、子供の間でトラブルが生じてしまうことがよくあります。この状況は小学校や中学校などあらゆる場所で生じる可能性があります。ここで、一つの解決方法が、集団に対して認知行動療法を応用することです。

たとえば、空手教室で一人だけ基本練習に参加しない子がいたとします。練習を頑張る子たちからすれば、「さぼってばっかでむかつくな」となります。ここで、先生がそのさぼっている子を「練習しないなら、隅で座っていなさい」という解決方法をとると、他の子供達のむかつくという感情が昂るばかりか、さぼっている子への侮蔑の感情を掻き立ててしまう結果につながる可能性があり、あまりいい方法にはなりません。
少し時間をとってでも、「なぜ、(その子は)さぼってしまうのか?」や「自分たちがさぼりたくなる時」(現象)に対して、その理由を考え、それを空手教室の生徒と共有するべきです。

「今日は特別疲れているの?」
と現状の情報共有ができたら、

「よし、皆も少し疲れているかもしれないね」
と、思考を共有します。そして、皆もという言葉の中に、同じ集団にいるんだというメッセージが含まれます。

その後は、
「あと、10本だけ、その場突きを全力で頑張ったら、休憩、その後はしっぽ取りゲームで俊敏性を鍛えよう」
という提案でさぼっている子への負の感情をゲームという報酬で「嬉しい」などの感情に上書きします。さらに、「10本頑張る」という行動目標に意識を向けていますが、これが感情をコントロールを促進しています。

このように、先生の言葉ひとつで、集団としての生徒の感情がコントロールできます。そして、この方法での物事の解決法を集団で体験する事で、生徒一人一人の物事の認知の仕方も変わっていきます。


いかがでしょうか?
もちろん、うまくいかないことの方が圧倒的に多いのは確かです。でも、まず事実を客観視するという思考の癖を身に着けることは、社会に出て、より多種多様な人たちとコミュニケーションをとっていくために必須のスキルだと思います。誰しもが、ついやってしまう不合理な思考の癖があると思います。完全に変えることができなくても、客観視することで、かならず思考や感情は変えられます。また、物事の根本を考えようとする姿勢は、AI時代に求められる課題発見能力や解決能力に通じるものです。是非、子育てに活かしてみてください。

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投稿者: keisuikansagamihara

相模原市中央区の空手教室です。

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