学力を伸ばすために、部活などのスポーツを制限された友人を何人か知っていますが、それから成績が伸びた例はあまり知りません。むしろ、最近のスポーツ界では文武両道が当たり前になりつつあるのか、大学院で研究しながらオリンピックでメダルを取るような活躍を見せるアスリートが目立ってきたように感じます。
でも、研究レベルでは、実際に学力とスポーツの関係について決定的とは言えなかったので、印象だけかなと思っていました。
今回の記事はメタアナリシス(ある2つの関係について同様の研究を複数集めてきてまとめる手法、単体の研究よりも確からしいと考えられています。)で運動と学力の関係についての論文を見つけました。
Celia Álvarez-Bueno. PEDIATRICS, 2017. Academic Achievement and Physical Activity: A Meta-analysis.
この論文での目的は、
- 小児期の学業成績および授業中の行動に対する身体活動介入の効果を評価する
- 学業成績を向上させる個人および身体活動プログラムの特徴を明らかにする
だそうです。
26の研究、4歳から13歳の約1万名が対象となり、その結果が統合されると、
「身体活動は、クラス内での態度および学力と相関しており、
特に学校の体育で、数学関連技能、読解力、および青少年の総合得点を向上させる」
という結果となりました。
子供は子供の社会の中で成長し、大人から与えられただけの遊びや学びでは得るものが少ないという研究もあります。特に体育で学力の向上が得られたのは、運動の効果ではなくて、クラスメイトと共に体育の課題をクリアすることで得られる信頼や仲間意識などが、クラス内でのコミュニケーションの円滑化につながり、それが学力と関係しているのかもしれないなと思いました。
ちなみに、今回の研究では数学と読解が別物として扱われていますが、算数や数学は読解力がないとなかなか成績は上がりませんので、2つが同じように関係していたことに不思議はないですね。
いかがでしたでしょうか?「スポーツをやったら、学力も上がるというわけではなさそう」ということになるのですが、「やっぱりスポーツは学力と関係あるだろう」という思い(思い込み、執念)で、もう一つ別の研究を別記事「筋力は考える力にもなる?」でご紹介します。
どんなにいい学校にいても、友達との関係とかが悪いと、いい事にはならないですよね。だからこそ、子供の居場所や環境というのはしっかり考えておきたいことの一つです。万が一、居心地の悪い環境に置かれてもいいように、複数の居場所を作ってあげることも親の役目なのかもしれません。(複数の居場所を作ることについては、別記事「習い事の見つけ方」もご覧下さい)