あの有名な孫子の兵法は元は戦における考え方として残されましたが、今や現代の戦である経営のみならず、人生の指南書としても広く読まれ、解説本も多く出版されています。この記事は私の子育てにおける、孫子の兵法の応用を述べます。
なんだってそうですが、人間相手のことに関しては、これが絶対の正解というのは稀なので、孫子の兵法もその応用に関しては、それぞれで考えなければいけません。と言っても、考え方の根底あるいは原理原則を学ぶ事は、1つの指針となりえるので、大変有用です。
孫子の兵法の第一章は計篇といい、「始計第一」という戦う前の心得や準備についての記述になります。入念に準備をするものが戦いを制す、あるいは戦わずして勝つための極意です。
五事
道とは、民をして上と意を同じくし、これと死すべくこれと生くべくして、危きを畏(おそ)れざるなり。
天とは、陰陽・寒暑・時制なり。
地とは遠近、険易、広狭、死生なり。
将とは、智、信、仁、勇、厳なり。
法とは、曲制・官道・主用なり。
これを子育てに応用します。
- 道 子供と共有すべき目標。(これがあれば、多少の困難があっても乗り越えていける)いわゆる大目標。こんな大人になってほしいなど。
- 天 生まれた時の健康状態や家庭の経済状況など、子供の運の要素が強いもの。
- 地 社会情勢、制度、住んでいる土地の環境など
- 将 子供の才覚、興味、集中力、素直さなど
- 法 家庭のルールや、家庭内での役割分担(兄弟関係含む)
例えば、現在小学1年生の子供の中学受験なら、
「道:偏差値60の渓崇館中学に合格する。天:例年、この中学校は200名の定員としていたが、この子の受験する年は300名に大幅増員するらしい。地:国語と理科社会は平易な問題が多いため、算数の得点が合否を分けている。また、空手の特待制度があるようだ。将:子供は数の把握が得意なようだが、集中力はあまりなさそうだ。運動も楽しそうにしており、苦ではなさそう。法:そろばんとかの学習系の習い事と空手をさせよう。お父さんが関与する時間を多くとるから、お母さんはメンタルのフォローをすることにしよう。」(すいません。適当です。空手の特待がある中学受験校など存在しませんし、あったとしてもだから空手をやるのはどうかと思います。)
この五事はよく理解している者ほど、成功するとされますが、戦う前の戦力比較として、次の七計を以てすると孫氏は説きました。
七計
- 有道 その目標は真当か(親だけの欲で定められていないか、子供の甘えが含まれていないか)
- 有能 その目標に見合う才能はあるか、備えられるか
- 天地 運や社会情勢、家計がその目標を許すか
- 法令 家庭のルールは厳格か、決め事にブレはないか
- 強 現時点の実力
- 練 十分に訓練できているか
- 賞罰 自らの決め事に対するご褒美や罰は適正か
「そもそも、中学受験はやるべきか?なぜ渓崇館中学校なのか?世間のブランドだけで決めていないか?、偏差値60に届くほどの能力がありそうか?問題の性質や学校が求める生徒像と子供がマッチしているか?、他の受験生はどれくらい同じ学校を目指すか?学費は捻出できるか?、勉強時間や寝る時間など家庭のルールは明確か?子供の偏差値はどのくらいか?1日どれくらい勉強できているか?漫画やゲームばかりしていないか?小さくても目標を達成できた時のご褒美などはなにが適切か?」
明確であればあるほど、目標を達する確率が高まります。今回は親目線での中学受験を例にしましたが、当然、子供目線での五事七計も考えておくべきです。
また、「始計第一」をもっと大きな枠での子育てに応用する、例えば「困っている人に手を差し伸べて助けてあげられるような優しい人になってほしい」が道なら、その子の気質とあっていそうか、それに見合う声かけのルールなどを考えていくことになります。
いかがでしたでしょうか?改めて目標やそれを達成するための要素や道筋を言語化することは大変重要です。なんとなく、「幸せになりたいな」だと、絶対に幸せと感じる時がこないのと同じです。
子供は親の意図と関係なく育っていくものなのかもしれませんが、それでも手放しでいいわけではなく、親の努力は子供に必ず影響します。(そう信じています。。。)
皆様の子育ての一助になれば幸いです。コメント等で皆様の五事七計をご教示くださると、今後の参考になるので、よろしくお願いします。