組手では、相手の攻撃を避けたり、捌いたりしなきゃいけないので、きっと皆さんは集中して相手を見ていると思います。
ちょっとした意識の差で見え方が違うこと気づいていますか?
虎の目・魚の目・鳥の目
虎の目
形なんかでは相手を睨みつけるように、一点に集中したような見方をします。これを虎の目と呼びましょう。虎の目では、目の焦点を合わせたところをは鮮明に、周囲はぼんやりな感じに映ります。至近距離で撮ったポートレート写真のような感じです。
この時、脳はその映像をどのように認識しているでしょうか?
実は、ある物体に集中していると、対象自体も、周囲も立体感を感じにくくなります。勉強なんかは平面の文字との戦いなので、虎の目でいいのですが、組手の戦いは立体空間の中を高速の突きや蹴りが飛び交う世界なので、対応が難しいです。ただし、威圧感はあるので、一瞬の間を作りたいときに試してみる価値はあると思います。
魚の目
魚眼レンズでの写真を見たことはありますよね。あのぐにゃっと曲がった不思議な映像は近くのものをより近く、遠くのものはより遠くに配置されるようになっています。つまり、立体の強調です。
戦いで相手の挙動を目で捉える場合、この魚の目が有効です。この目を使うときのコツは相手を中心にぼんやりと全体を捉えることです。緊張すると、どうしても、虎の目になりがちですので、まさに胆力が必要になります。
鳥の目
相手の動作を目で見て判断するだけだと、単純な身体能力の勝負になってしまいがちです。相手の技を察知するには、見ているだけではだめです。大事なことは、全体の流れ、相手が警戒してるであろう技、自分が見せている相手への隙、試合であれば審判との位置関係etc. . .これらを総合的に把握して次の攻撃を予測することです。要するに「俯瞰」的な視点で物事を捉えると言うことで、鳥の目とか鷹の目なんて表現されたりします。
この目は実際は目で見ることではなく、頭で考えることなのですが、戦いだけでなく、生活においても非常に大切な技術です。
いかがでしょうか。物の見方は意識の仕方で全くと言っていいほど異なります。何事もそうですが、どれがいいとかではなく、状況に応じて使い分けることが戦いを有利に進めていくために必要となります。