武道をやっている方なら一度は聞いたことがあるだろう言葉「虚実」を実践で使えるようになりたいなという話です。
虚実
おおよそ人と人の関係の間には虚と実があります。虚は空虚とか虚無とかてわかるように、「ない様」です。実は実践とか真実のように「ある様」を表します。
よく、武術の解説本にあるのは虚実を使い分けて相手を翻弄させることができる的な解説がされていると思います。体験しないとわからないないことでもあるのですが、無の状態のまま繰り出された攻撃はそのおこりを察することができないのです。
信じられないですよね。
医学的な説明を試みます。
例えば、腕を動かそうとする時は必ず、脳の前頭葉にある補足運動野がまず興奮しだして、脊髄を伝って腕の各筋肉を動かします。この興奮というのは、電気活動です。
猿の実験で、仲間の動きを動画を見せると、その仲間の動作をするための筋肉を司る脳の部位の興奮が確認され、それはミラーニューロンと名付けられました。
微妙な動きでも反応があるようなので、腕を動かそうとする脳の電気的活動を相手のミラーニューロンが捉えていて、実際に攻撃した際の反応が高まるのではないかと考えられます。
このミラーニューロンによる反応で相手の反応をコントロールするには次の2通りを考えます。
- 何も考えない状態から何も考えずに動く
- 動くイメージでいっぱいにしてから動く
2つ目なんかは、よくフェイントの指導をする時に「本当に打つつもりで」なんて言ったりしますので、なんとなく理解できるのではないでしょうか?
実際に打つつもりでやるフェイントとフェイントのつもりでやるフェイントは全くと言っていいほど別物です。
また、補足運動野は運動をイメージするだけでも興奮して、筋肉への電気的信号も増加することが知られています。これを応用すると、無数のパンチやキック(北斗神拳やワンピースのガトリングガンの感じ)をイメージすると、補足運動野がメチャクチャ興奮して、関連する筋肉が「動きたい」くてしょうがない状態になります。その状態で、実際に動くと、単発で動こうとした時と比べて、スピードやパワーが上昇することは想像に難くないかと思います。
武術的にやりたいのは、何もない状態で何も考えずに攻撃する(できる)ですよね。
これを習得するには、根本的に考え方を改めていくと同時に、動きが無意識でもきれいにできるくらい身体に覚え込ませる必要があります。歩いているときに「右左右左」と考えなくてもうまく進めるが如く、突きや蹴りをだすってことです。
スポーツ化された空手の試合では虚の時間長く取ることはできませんが、実一辺倒の中に一瞬の虚を織り交ぜる事ができれば、技の成功確率が上がっていく気がしませんか?
ということで、虚と実を操ってみたいなという話でした。虚の攻撃は無意識の動きとも言えるかもしれませんが、無意識を意識的にやるなんて「できるわけなかろう!」って感じですが、できたらかっこいいので、練習します。
これからも、一緒に強くなって行きましょう。
「虚と実、意識と無意識」に3件のコメントがあります